うちでは、牛肉が食卓に上がることは、ほとんど無い。
それが、どういう理由によるものなのかわからないが
そのように育つと、そういうものだと思うものだ。
ある日、友達とデパートに行ってきたらしい母は、
よせばいいのに、友達が買ったからと、神戸牛の霜降を購入してきた。
ステーキ用というヤツだ
いったい、いくらしたのだろう
こんなことに見栄を張るなんぞ、馬鹿らしいことだ
少し不安な夕食・・・
当然のように、扱った事の無い食材であるからだ
塩コショウをかけて焼いたらしい、一応、焦げてない。
ナイフで切ってみると、これが良く切れない・・。
なんだこれは?
おかしいなと思いながらもすべてを丁度良いサイズに切断して、
いざ、その肉片を食べようとしてみると、何か幕のようなものが・・・
剥がれそうだったので剥がしてみる・・・
その膜は、
透明度があり、実に人工的なほど均一の厚さをして
コショウと肉汁で染まっていた。
よく見ると、この肉片だけでなく、肉全体にあるようだ。
いくつかを剥がすと、その全貌が明らかになった。
紙だ。
高級な肉を買うと包装時に使われる、ちょっと透明っぽい紙。
テレビで見たことがある。
紙を丁寧に全部はがすと塩コショウはなくなった。
なに紙ごと焼いてるん
母「そっかぁ」
仕方が無いので、醤油をかけて食べた。
そんなうまいとは思えなかった。
神戸牛が悪いわけではないと思う。
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